良質なたんぱく質って何?タンパク質の質を知ってタンパク質攻略!!

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タンパク質には質が存在する
タンパク質という言葉はもうなじみの言葉ですよね。ですが、そのタンパク質に質があることはご存知でしょうか?
質はタンパク質の中身であるアミノ酸の種類・その量によって変わってきます。
タンパク質の必要量やタイミングについては以前お話しました。次に質を知ることでタンパク質という栄養素を攻略していきましょう!!
また、アスリートであればBCAAを摂取している方もいるのでないでしょうか?それについても少しお話いたします😊
それではみていきましょう!
こちらの記事は管理栄養士(国家資格)である広瀬陽香 (ひろせはるか)がかいています。大学で栄養学について学び、卒業後は女子アスリート寮で寮母として献立作成、食事提供、アスリートのメンタル面でのサポートをしていました。現在はアスリートが多数訪れる東大阪市のやまぐち整骨院にてアスリートと携わっております。
管理栄養士 広瀬陽香
良質なたんぱく質とは?
ずばり、質の良いタンパク質というのはアミノ酸スコアが高いということ。具体的にはそのスコアの値でMAXの100に近いほど質が良いと言われています。
ちなみに良質なたんぱく質ほど、タンパク質としての働きが発揮されやすくなります。
アミノ酸について
アミノ酸スコアのお話に入る前にまずアミノ酸について先にお話していきます。アミノ酸スコアの話をするのに大切なところです。
タンパク質と一口にいっても食品でいえば、魚・肉・卵・乳製品など動物性からご飯、パンなどの穀類や豆腐・納豆・厚揚げなど豆製品の植物性まで存在します。
全てのタンパク質が体の中で分解され、最終的にアミノ酸になり吸収されていきます。そしてそこからまた筋肉や臓器など体タンパク質が合成されていきます。
このアミノ酸は全部で20種類にもなります。
私たちが普段口にしているタンパク質は、これら20種類のアミノ酸がそれぞれ色々な組み合わせでくっついて成り立っています。
20種類のアミノ酸は大きく2つに分類されます。
- 必須アミノ酸 9種類
- 非必須アミノ酸 11種類
つまり、食事から必ず摂取しなければ確実に不足するアミノ酸と言えるでしょう。必須というのは、外部からの摂取が必須という意味です。
決してサプリなどからしか取れないということではありません😊
非必須アミノ酸というのは、体の中で他の栄養素から合成できるアミノ酸です。だからといっていらないというわけではありません。必要でないものなんてないのです。
外部から摂取しないと不足してしまう”必須アミノ酸”とても重要ですよね!では、ここから必須アミノ酸についてみていきましょう。
- 必須アミノ酸
フェニルアラニン・トリプトファン・ヒスチジン・メチオニン・リジン・スレオニン・バリン・ロイシン・イソロイシン
BCAAとは
BCAA。アスリートであればこの名前、知っている方も多いのではないでしょうか?
少し話はそれますがBCAAについて正体を知らずに摂取しているアスリートも多いのでお話しておきます。
BCAAってなに?
- バリン・ロイシン・イソロイシンからなる
- 必須アミノ酸のうちの1つ
- 筋肉と影響の深いアミノ酸
BCAAという名前はアミノ酸単体を表すのではなく、バリン・ロイシン・イソロイシンという3つのアミノ酸をまとめて呼ぶ時の呼び方です。
上の四角内を見て頂いても分かるようにバリン・ロイシン・イソロイシン全て必須アミノ酸の部類に入っています。外から必ず摂取する必要がありますね。
そしてこのアミノ酸の働きは筋肉と関係しています。
- 筋肉形成の促進
- 筋喪失を防ぐ
- 疲労回復などの効果を持ちます。
これらは、もちろん食品にも含んでおり、魚や肉・乳製品を中心とするたんぱく質源に多く含みます。筋肉トレーニング直後など、すぐ吸収されることによるメリットが大きい場合に関しては、BCAAサプリメントは有効かもしれません。
但し、この速さを重視する場合は胃の中に消化中の食物があると吸収される小腸に届くまでに時間を要し、速さを利点とするアミノ酸摂取の意味をなくしてしまいます。
アミノ酸サプリの摂取時には前の食事が影響することを頭に入れておいてください😊アミノ酸スコアについて
では、話を戻し必須アミノ酸によるタンパク質の質に関する話へいきましょう。
冒頭に出てきたこの謎の言葉を解明していきます。
アミノ酸スコアとは…
食品中の必須アミノ酸がその食品にどのくらい含まれているか。
そして、それが必須アミノ酸のある一定の基準に対してどのくらいの割合なのかというものを表したものです。
これではまだわかりにくいですよね。
桶に例えてお話していきます。
この桶は全部で9枚の板でできており、1枚1枚の板が組み合わさってできています。この板1枚1枚を先ほどお話した必須アミノ酸9種類に見立てます。(近年、必須アミノ酸9種類に非必須アミノ酸のシステインとチロシンが加わりました)
そしてこの桶の赤線が基準なっています。この基準となっているのは必須アミノ酸の必要量を表したものです。
ちなみにこの基準というのは国際的な機関によって定められています。この決められた基準に対して、ある食品の必須アミノ酸がそれぞれどのくらい満たせているかというのがアミノ酸スコアです。
この2つの食品の桶を見て頂くとわかるように、あじのように全ての必須アミノ酸が赤線(基準)を超えている場合をアミノ酸スコア100としています。アミノ酸スコアは100が限度なので100に近いほど質の良いタンパク質と言えるでしょう。
なので、質の良いタンパク質というのは、必須アミノ酸9種類すべてが基準を超えていること。と言えます。
そして、米のように基準を超えていない必須アミノ酸(米ではリジン)が1つでもあるとアミノ酸スコアが100から遠ざかっていくようになっています。
それはタンパク質の栄養学的価値が下がっていることを意味します。
最も低いアミノ酸のレベルに制御されます。つまり、質が悪いと言えるでしょう。桶の板が1枚でも短いと水はこぼれてしまいタンパク質の栄養価が少なくなります。
例えば、米でいうとリジンが唯一基準を満たせていません。このように、
満たせていない必須アミノ酸➡「制限アミノ酸」
最も低い必須アミノ酸➡「第一制限アミノ酸」 と呼びます。
米の場合、制限アミノ酸(基準を満たしていない必須アミノ酸)はリシンのみであるため、これが最も低い必須アミノ酸になります。
そのため、制限アミノ酸・第一制限アミノ酸はリシンとなります。そして、第一制限アミノ酸の次に足りていない必須アミノ酸を第二、第三…と続きます。
米は茶碗1杯(200g)当たり約5gのタンパク質を含みます。アスリートは穀類をよく食べるのでたんぱく質量だけで見ると、茶碗2杯食べると10gと、卵とほぼ同等のタンパク質を含みます。
ですがアミノ酸スコアは65、卵は100です。同じ量でも米はタンパク質としての栄養価が低くなっているということです。
- 制限アミノ酸:基準を満たせていない必須アミノ酸のこと
- 第一制限アミノ酸:制限アミノ酸の中で最も低い必須アミノ酸のこと
そしてこのアミノ酸スコアというのは第一制限アミノ酸の値のことを言っています。したがって、米では第一制限アミノ酸がリジンでありこれが65%となっているので、
米のアミノ酸スコアは65となります。
アミノ酸スコア100は制限アミノ酸がない状態となります。
アミノ酸スコア一覧
食品 | アミノ酸スコア |
鶏卵 | 100 |
牛肉 | 100 |
牛肉 | 100 |
鶏肉 | 100 |
豚肉 | 100 |
あじ | 100 |
いわし | 100 |
さけ | 100 |
まぐろ | 100 |
豆腐(木綿) | 82 |
精白米 | 65 |
パン | 44 |
うどん | 41 |
じゃがいも | 68 |
こう見てみると、ある傾向がみえてきますよね。
動物性食品のアミノ酸スコアは高く
植物性食品のアミノ酸スコアが低い傾向にあるということです。
つまり比較的、動物性食品は質の良いタンパク質だと言えます。
植物性食品は決して高くはありません。
豆腐のように加工されてしまうと落ちてしまいますが、大豆は例外でアミノ酸スコアが100です。
一般的には、肉・魚・卵・乳製品・大豆などを質の良いタンパク質だと言えそうです。
アミノ酸スコアの注意点
ここで注意しておいてほしいことがあります。
- スコアが良い=タンパク質量が多いという訳ではない ということです。
スコアはあくまで、質をみたものでありタンパク質量自体を評価したものではありません。
例えば、アミノ酸スコアが100の牛乳は100g当たり3.3gであり、
アミノ酸スコアが44の食パンは100g当たり9.3gのたんぱく質量を含みます。
アミノ酸スコアで見れば、牛乳のほうが高いですが、タンパク質自体の量でみると食パンのほうが多く含みます。
アミノ酸スコアに引っ張られすぎないよう…あくまで質を評価したものです😊
またアミノ酸スコアが低い、ご飯やパン、うどん、じゃがいもだって補えばアミノ酸スコアが100になります!!✨
リジンが基準を満たせていないお米。でもご飯だけでなくアジをつけたり卵かけご飯にすることでリジンが補われ、100になります。
こんな簡単なことなんです!なので、うどんだけ、白飯だけ、パンだけと言わず、肉・魚・卵・乳製品など一緒にとってみてください😊
それだけで、質が悪いから良いに簡単に変わります。アジ🐟とご飯のアミノ酸スコアを示しました。
アジに少なめなヒスチジンやトリプトファンはご飯にしっかり含まれていますよね。米に不足しているリジンは逆にあじに多く含まれています。
こうやって食品同士で補えばいいのです。
足りていないからと言ってもし、1種類の制限アミノ酸のみを補うと他のアミノ酸の必要量が増えタンパク質の効率比が低下ということもあります。
足りていない1種類だけをピンポイントで摂るようなことは食事ではできません。
なのでバランスよくアミノ酸を補い合うには、食事によって様々な食材を摂取していくことです。
大切なのは質だけではない
最後に間違えてほしくないことについてです。
上で話したように決して質の悪いタンパク質は摂る必要がないという訳ではありません。
質だけを求め、必要なたんぱく質量を肉ばかりでとっていれば一緒に脂肪もついてきます。
そのような点からも、タンパク質は動物性も植物性もバランスよく組み合わせることが大切です。そうすることでパワーを発揮すると言えます。
タンパク質摂取において大切なことは量・質・タイミングです。
前の記事でも説明したように
- たんぱく質量は自分に合った量を毎食均等に摂りましょう。
- そしてその中身については様々なたんぱく質源をバランスよく摂取しましょう。
量が多くても質が悪くては、タンパク質としての力を充分に発揮できず
質が良くても量がなければ、たとえ筋トレをしても、筋肉はうまく増えてきません。
- 摂るタイミングは、三食を基本に効率の良い時間帯に合わせて摂ることが大切です。
動物性食品はアミノ酸スコアという点だけでみれば優れているといえるでしょう。
しかし、脂質摂取の点からみれば過剰になることもあるでしょう。(部位や量にもよりますが)
全てに言えることですが、ある1点に着目をしてそれだけで決めつけてしまうのはよくありません。栄養素や食に関して、1点に固執しすぎて、そこだけをとればそれはおそらく悪影響に変わっていきます。
なんでもバランスよくが大切です😊
今回は少し長くなってしまい内容も盛りだくさんでパンパンかもしれません…。
読んでいただきありがとうございました!!
このアミノ酸スコアについては、説明してほしい!というお声が多数あがりましたのでさせて頂きました!また、こんなこと話してほしいなどあれば
InstagramのDMでも構いません!✨いつでもお待ちしております。