アスリートのための栄養学

疲れやすい!アスリートの陰にひそむスポーツ貧血

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スポーツ貧血を知る

「なんだか疲れやすい」「息切れや動悸がする」といったパフォーマンスの低下を感じ、悩んでいるアスリートはいませんか?

また、それを貧血と疑ったことはありますか。

もちろん、「疲れやすい=貧血」ということではありません。症状だけでは確定できず、血液検査の結果など複数の指標から判断されることです。

ですが、ここでスポーツ貧血という存在を知り、その予防になる食事摂取ができればスポーツ貧血によるパフォーマンス低下を抑えることができます。

パフォーマンス低下の要因を1つでも減らしていけるようにしていきましょう!

貧血というのは「何らかの原因」により、赤血球数やヘモグロビン量の減少により起きるもので、低酸素状態をもたらします。

「何らかの原因」の多くは以下の通りです。

今回は、特に多い鉄欠乏性貧血についてピックアップしてお話していきたいと思うので上2つは簡単にいきます!

  • 希釈性貧血

☑血漿量の増大による血漿希釈によるもの

トレーニングに伴い血漿量(血液中の液体成分です)が増加することで相対的に濃度の低下を起こしている状態です。液体部分の増加により、希釈という名の通り血液が薄まっています。

なので、他の貧血のように赤血球やヘモグロビン量が減少しているわけではありません。

これはみかけの貧血であり、実際の貧血とは少し異なります。

トレーニングの初期に起こりやすいとされていますが全てがそうとは限りません。疲れやすい、息切れや動悸が続くようなら病院に行かれることをお勧めします。

  • 溶血性貧血

☑血球破壊による溶血・ヘモグロビンの体外への損失

陸上競技、剣道、柔道、空手、バレー、体操競技など、足底に物理的な衝撃が加わることで赤血球の破壊が起こります。

靴を履いてのスポーツでは靴のソールを変えるなどによりなくなることもあります。

この貧血は赤血球が新しくできれば回復していきますが、疲れやすい、息切れや動悸が続くようなら病院に行かれることをお勧めします。

  • 鉄欠乏性貧血

☑体内鉄の不足・赤血球合成材料の不足 など様々です。

先ほども述べたように最も頻度の高い貧血となっています。この漢字のようにヘモグロビン(赤血球の成分)の材料であるが欠乏(不足)することで起きます。

ヘモグロビンは酸素の運び屋

なぜヘモグロビンが少なくなると、貧血(低酸素状態)になるのか。

それは、ヘモグロビンが酸素を全身に運ぶという役割を持つためです。

これが減少するということは酸素が全身に必要分行き渡りにくくなり、息切れや動悸・疲労が起きます。

なので鉄欠乏によるスポーツ貧血は、より酸素を多く必要とする持久系のアスリートのパフォーマンスの低下などが特に目立ちます。

ではその鉄はなぜ不足してしまうのでしょうか。鉄が不足する理由は大きく分けて3つです。

  • 鉄需要の増大
  • 鉄摂取不足
  • 鉄損失の増加 です。

 

主な原因は以下の表のとおりです。

鉄需要の増大鉄摂取不足鉄損失の増加
・成長期に伴う臓器・筋肉の増加

・運動に伴う筋量の増加

・食事性

(食事制限・極端な減量)

・発汗量の増加

・運動量の増加に伴う

 酸素供給増加によるヘモグロビン消費の増加

 

アスリートの診断基準

貧血診断基準の1つであるヘモグロビンはアスリートと一般人では基準が異なり、アスリートのほうが基準値が高くなっています。

男性アスリートで14.0g/dl女性アスリートで12.5g/dl未満が貧血とされます。

これらの診断は、医療機関でしか行えません。

もし、症状がでてきたり、記録が伸びない、練習に自分だけついていけないなどあれば一度病院などで診断してもらうことをお勧めします。

また、少し気になるなどあれば相談にのりますので、ご連絡ください!

鉄サプリは安易に使用しない

「貧血と言えば、鉄!」と思い、安易に鉄サプリを使用することは避けて頂きたいと思います。

鉄の過剰摂取は機能障害に繋がる可能性もあります。貧血を疑い使用する場合は管理栄養士など専門家にご相談されることをお勧めします。

自分の現在の食事でどのくらいとれているのか、不足している場合食事で補えるかなど個々で異なります。

貧血予防のための食事

主に、食事が大きく関係する鉄欠乏性貧血の予防のための食事についてお話していきます。

適切なエネルギー摂取が貧血予防の第一歩

貧血の予防や初期などまず確認したいことは適切なエネルギー摂取ができているのかどうかです。

特に体重が軽いほうが有利とされるような競技のアスリートや体重を気にしがちな女子アスリートに多いように思います。

質の良い食事(バランスの取れた食事)でも量が足りていない場合は、量を適切にすることで良くなることもあります。

短期間での減量など極端な食事制限は食事量が減るため、必然的に摂れる栄養素が減り、鉄の摂取量が減ることも多々あります。一見貧血に関係なさそうに見えますが適切なエネルギー摂取というのは基本であり貧血予防にも大切なことなのです。

食事の質を確認

次に適切なエネルギー摂取ができているが、質が良くない食事、もしくは摂取エネルギーも質もよくない人に対しての食事です。

質の良い食事というのは、必要な栄養素がしっかり摂れる食事です。

大前提として、栄養素は、それぞれが助け合い本来持つ力を発揮します。

単一でとったり、何かだけを集中して摂取することが決して良い結果につながるとは限りません。そのうえで、今回は特に貧血の予防に働く栄養素を挙げていきます。

ヘモグロビンの材料になる栄養素

タンパク質

ビタミンC

ビタミンCは鉄の吸収率を上げる働きも持ちます。

 

赤血球合成の材料になる栄養素

ビタミンB6

ビタミンB12

葉酸

 

B6・B12に関しては、多く含まれる食品は基本的に動物性です。

葉酸は葉の酸という名前の通り、葉野菜を中心とした野菜に多く含まれます。

これらを踏まえチェックポイントにすると

 

☑主食量は確保できているか 主食(適切なエネルギーの確保)

☑肉・魚が十分にとれているか 主菜(鉄・タンパク質・B6・B12)

☑豆・豆製品を適宜摂取できているか 主菜(鉄・タンパク質)

☑野菜は緑黄色野菜を中心とし果物もバランスよく摂取できているか 副菜・果物(鉄・葉酸・ビタミンC)

 

 

になります。これはつまり基本形をそろえることに繋がりますよね。

バランスの良い食事が良いとよく言われますがそれは貧血予防でも同じです。

 

まとめ

  • スポーツ貧血のほとんどは鉄欠乏性貧血
  • 鉄欠乏性貧血は食事によって予防できることが多い

➡適切なエネルギー摂取・ヘモグロビンの材料(タンパク質・ビタミンC・鉄)

赤血球の材料(ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸)

  • バランスの良い食事が貧血予防のポイントになる

普段からバランスのとれた食事(量・質ともに)をして、防げることは防ぎましょう!!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

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