アスリートのための栄養学

ビタミンを軽視していては体はできない!確かな知識で確かな体を手に入れる

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限られた食品しか食べない人はビタミン不足に注意

皆さんは嫌いな食べ物はありますか?同じような食材ばかり食べていませんか?それはビタミン不足に繋がっている可能性があります。

三大栄養素と違いビタミンのような微量栄養素は、種類が多いことを特徴としています。

好き嫌いなどで食べられるものの幅が狭く、限られた食品しか食べなければ、同じような栄養素の種類・同じ配分でしか取れません。これでは種類の多いビタミンを十分にとり切ることができません。

今回は、ビタミンのおおまかな働きや何に多く含まれるのか・特に不足しやすいビタミンは何なのかについてお話していきます😊(ビタミンについては、何回にもわけてお話していきます。)

こちらの記事は管理栄養士(国家資格)である広瀬陽香 (ひろせはるか)がかいています。大学で栄養学について学び、卒業後は女子アスリート寮で寮母として献立作成、食事提供、アスリートのメンタル面でのサポートをしていました。現在はアスリートが多数訪れる東大阪市のやまぐち整骨院にてアスリートと携わっております。これは嫌だから食べない!なんてものありませんか?それ、本当にそのままで良いのでしょうか。これを見て今一度考えてみて下さい!!

管理栄養士 広瀬陽香

ビタミンは全部で13種類

ビタミン摂取の話の前にまずビタミンの種類について知っておきましょう!種類が多くあると言いましたが一口にビタミンといっても全部で13種類もあるのです。

そしてビタミンは大きく2つに分類されます。

  • 水溶性ビタミン:B1、B2、B6、B12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸(総称:ビタミンB群)、ビタミンC
  • 脂溶性ビタミン:D、A、K、E

水溶性ビタミンは、その名の通り水に溶けやすいビタミンです。多くとったとしても基本は体内に蓄積されず尿や汗で体外に排出されます。

脂溶性ビタミンは、油に溶けやすいビタミンです。これは、水溶性ビタミンとは異なり過剰に摂取すると体内に蓄積されやすいです。

ビタミンがなければ体は変わらない

「筋肉量を増やす」や「体脂肪量を減らす」など、体を変えたいとき三大栄養素だけに注目しがちですがこれらは全てビタミンがなければ行うことができません。

体内では絶えず代謝が行われています。代謝というのは体外のもの(口から入れた食事)を体の中で他のものに作り替えることや、体内にあるものを他のものに作り替える体の中での変化のことです。これにはビタミン”が必要不可欠です。

「筋肉量を増やす」というのも、体外のもの(食事によるタンパク質)を体の中で他のもの(筋肉)に作り替えています。

「体脂肪量を落とすというのも体内にあるもの(体脂肪)を他のもの(エネルギー)に作り替えています。

ビタミンは三大栄養素を上手く身にするための潤滑油のようなものです。

ミトコンドリアのお話でさせて頂きました。

ビタミンの源は野菜・果物だけではない

次にビタミンは何に含まれるのか考えてみて下さい。

ビタミンと聞くとなんとなく野菜や果物のイメージありませんか?もちろん野菜や果物に多く含まれるビタミンもありますが野菜や果物以上に魚・肉に多く含まれるビタミンもあります。

例で挙げると、ビタミンB12は、ほぼ動物性食品に含まれています。

そのため厳格な菜食主義のアスリート(体操など特に審美系や体重増加を極端に嫌がる女子アスリートに多い)では不足の可能性があがります。特に、アスリートではよく動く分、体は酸素をより多く必要とします。その酸素を運ぶ上で大切な赤血球をつくるのがこのビタミンです。

「野菜だけを食べていれば全てのビタミンを摂れている」ということではありません。

ここを勘違いしている方もいらっしゃるので頭に入れておいて頂けると良いですね😊

不足しやすいビタミン

13種類もあるビタミンですが、その中でも不足しやすいビタミンというのが存在します。ここでは2つを例に挙げ詳しくみていきます。

  • ビタミンB1:特に糖質をエネルギーに変えるのに使われるビタミンです。エネルギーの半分以上を糖質から摂取している日本人にとっては非常につながりの強い栄養素です。

不足することで、代謝が上手く回りにくくなり、疲れやすくなったり、エネルギーが十分に作れないと筋肉を分解してエネルギーを作ります。そのため上手く筋肉が作られなくなってきます。

食品例:胚芽米、玄米、そば、大豆製品、豚肉、大豆、枝豆、を始めとする多くの食品に含有されています。

ビタミンB1が不足しやすい理由

  • 糖質によるエネルギー消費量が多い

糖質をエネルギーに変える主な栄養素がビタミンB1です。特にアスリートに関しては摂取する糖質量も一般人より多いのでビタミンB1はより多く使われるため不足の可能性は更に上がると考えます。

  • 甘い食べ物や甘い飲み物(清涼飲料水)を頻繁に摂取することによりビタミンB1が使われやすくなる

甘い食べ物や飲み物は糖質を多く含みます。そのため、糖質からエネルギーを作ろうとビタミンB1を使うことになります。そうなると、いざ3食でごはんを食べたときにビタミンB1が足りないということが起きます。

  • 様々な食品に含まれているがその量が少なく必要量を毎日摂取することが難しい

食品例に挙げたような食品を除いて、ビタミンB1はわずかしか含まれません。食品例に挙げた食品を毎日となると難しいため不足の可能性が上がってきます。また食品例に挙げた食品すらあまり摂れていなければ更に不足の可能性は高くなってきます。

  • 熱に弱く、調理損失も激しい 

ビタミンの中には熱に弱いものもあります。その1つがビタミンB1です。また水溶性ビタミンということから水にも溶けだしやすくなっており調理損失も激しくなっています。

ビタミンB1の摂取の工夫
  • 主食を茶色のものに変更

➡「白米なら玄米」、「うどんならそば」というように茶色に変更することでビタミンB1摂取ができます。毎日のようにしてしまうと玄米に含まれるフィチン酸による鉄やカルシウムの吸収阻害の問題もあるので、適度取り入れると良いです。

  • 豚・うなぎ・魚など積極的に取り入れて摂取量を増やす

➡ビタミンB1が多く含まれる食品なので、これらを適当に献立に取り入れると良いです。

  • 調理時の煮汁を一緒にとる

➡水溶性ビタミンなので、水分にとけ出してしまいます。なので汁ごととれる料理が良いです。

  • 漬物はぬか漬けにする

➡米ぬかに含まれるビタミンB1が野菜の中に浸透するため、手軽に色々な野菜でビタミンB1摂取ができます。

VB1摂取には、B1が豊富な食品と少しの工夫です!

  • ビタミンC:抗ストレスビタミンとも言われます。これは抗ストレスに働くホルモンの合成を促すビタミンだからです。また、コラーゲン(腱・皮膚・軟骨・骨の構成成分)やヘモグロビンの合成や鉄の吸収率を上げることにも関わるビタミンです。

食品例:菜の花、赤ピーマン、芽キャベツ、ブロッコリー、柑橘系、キウイ、イチゴ等の野菜や果物が主となります。

ビタミンCが不足しやすい理由

  • 調理損失がかなり大きい

ビタミンB1同様に熱に弱く、水に溶けだしやすいことに加えて空気に触れることでも分解されていきます。非常に調理損失が多いビタミンです。

  • 多くのストレスにより消費されやすい

特に紫外線などによる身体的なストレス、緊張が続く環境による精神的なストレスに曝されている状態は、その分それに抗うホルモンも多く作られます。アスリートはこの環境におかれやすいため、特に不足しやすいビタミンです。

ビタミンCの摂取の工夫
 

  • 生で食べられるような野菜はそのままで

➡野菜は水にさらすものもあるかと思いますが、できるだけ短くし加熱調理も必要以上に煮ないことです。3分以上茹でることで、VC量は半減してしまいます。

  • 汁ごと摂取できる料理に使用する

➡水溶性ビタミンなので、水分にとけ出してしまいます。なので汁ごととれる料理が良いです。

VC摂取には、積極的な野菜や果物の摂取です

水溶性ビタミンは体内に貯めにくくなっています。なので毎食十分に摂取していくことが求められます。

ビタミンは糖質や脂質とは異なり、体内に多く貯められません。ビタミンも半日たてば半分に減ってしまいます。1日もたてば確実に欠乏するでしょう。

こまめに補給することが重要です。

サプリは最終手段

ビタミンサプリに関しては多数販売されていますが、サプリメントに関しては基本食事ベースで考え、摂取エネルギー増加に伴い、食事ではとり切れない場合や、合宿先の献立的に必要量を摂れそうにない場合など、自分の摂取状況や環境に合わせ、理想は管理栄養士・栄養士など専門家に相談したうえで使用することです。

ビタミンに限ったことではないですが、他の栄養素(ビタミン)と共同して働くので、単一のビタミンの過剰摂取は相互バランスが崩れてしまいます。ビタミンの中には、偏りのない食事をしていれば十分量摂取できるものから、どうしても必要量とりにくいビタミンもあります。

栄養素1つ1つの単体でみるのではなく全体でみることが大切です。この栄養素が良いからとそれだけを摂れば悪影響を与える可能性がありますし、限られた食品の摂取も限定的なビタミン摂取に繋がるということです。様々な食材を摂取していきましょう!!

まとめ

  • ビタミンは代謝に関わる必須栄養素

➡ビタミンがなければエネルギーも筋肉も作れず、脂肪も減らない。

  • 不足しやすいビタミンはビタミンB1、ビタミンC

➡ビタミンB1:エネルギー消費が多くなる場合や、ビタミンB1の持つ特徴(調理損失が大きい・一部の食品を除き各食品に微量しか含まれない)により不足の可能性は上がる。

ビタミンC:調理損失や、ストレスにより不足の可能性は上がる。

  • サプリは最終手段

➡基本は食事ベースで、どうしても食事から摂取できない場合の利用が望ましい。

以上がビタミンに関するお話でした!長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!

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