ビタミンが体をつくる!?緑黄色野菜の積極摂取で体づくりをサポート

Contents
体づくりを助ける脂溶性ビタミン
体を作る栄養素と言われて何の栄養素が思い浮かびますか?タンパク質・炭水化物あたりがすぐに思い浮かぶかもしれませんがそれだけではありません。そこにはビタミンが必須です。
今回は、前の記事で名前だけ挙げた脂溶性ビタミンに焦点をあてていきます。
脂溶性ビタミンは水溶性ビタミンのビタミンB群とは違い代謝に関わるというよりは体づくりを助けるビタミンです。
その中から今回紹介するのはビタミンAとビタミンKです。これらのビタミンはどのようにして体づくりを助け、何に多く含まれているのかみていきましょう!そしてそれを自分の生活に取り入れていきましょう。
こちらの記事は管理栄養士(国家資格)である広瀬陽香 (ひろせはるか)がかいています。大学で栄養学について学び、卒業後は女子アスリート寮で寮母として献立作成、食事提供、アスリートのメンタル面でのサポートをしていました。現在はアスリートが多数訪れる東大阪市のやまぐち整骨院にてアスリートと携わっております。
管理栄養士 広瀬陽香
体を支えるビタミンA
まずはビタミンAの体内での働きについてです。
生理作用
- 皮膚や粘膜を健全に保つ
- 成長作用:細胞の分化や遺伝子発現に関与する栄養素のうちの1つ。(もちろんビタミンAだけを摂れば良いということではないですよ😊)
- カロテノイドは*抗酸化作用を持つ
*抗酸化についてはまた記事にくわしく書きますが、酸化によって体はサビていきます。それを防いだり、除去したり、受けたダメージを修復するのが抗酸化作用です。
アスリートでは、活動量も多く日光に曝される時間も長い傾向があるため特に体が酸化しやすくなっています。このサビは疲労などパフォーマンス低下の原因にもなると言われています緑黄色野菜を食べてビタミンAをつくる
ビタミンAの摂取源の1つとして緑黄色野菜を挙げます。
緑黄色野菜とは、外側だけでなく中まで赤・黄・緑がはっきりしている野菜です。この野菜に含まれる色がビタミンA摂取のカギになっています。なぜ色がカギなのか、緑黄色野菜の定義をみてみましょう。以下が緑黄色野菜の定義です。
原則、可食部100g当たりカロテン*2含量が600µg(マイクログラム)以上の野菜です*2このカロテンとは、動植物の色素のことで、このよう体内でビタミンAにかわるものをプロビタミンAと呼びます。この“プロ”というのは、「前の」という意味です。プロビタミンA(カロテン)はビタミンAの前という意味です。体内で必要に応じビタミンAに変わります。
このことから、緑黄色野菜の摂取はビタミンA摂取に繋がると言えます。以下に緑黄色野菜を一部挙げてみました。
緑黄色野菜
人参・かぼちゃ・小松菜・ほうれん草・ブロッコリー・いんげん・オクラ
サラダ菜・かいわれ大根・チンゲン菜・モロヘイヤ・サニーレタス等
*トマトやピーマンはカロテンが600µg未満ですが食べる回数が多いので摂取量も多くなってくることから緑黄色野菜に含まれています。
ビタミンAの2つの形
ビタミンAといっても1つではありません先ほど説明した必要に応じてビタミンAに変換されるカロテノイド(プロビタミンA)と既存のビタミンAの2つが存在します。
カロテノイド(プロビタミンA)
先ほどお話したカロテンもこのカロテノイドの1種です。他にも、リコピン(トマトの色素成分でおなじみですね)、アスタキサンチン(鮭、エビ、カニなどの色素成分)もカロテン同様ビタミンAに変わります。これらををまとめてカロテノイドと呼んでいます。
トマト、かぼちゃ、ほうれん草、人参、モロヘイヤを始めとする多くの緑黄色野菜です。
ビタミンA
これはもとからビタミンAとして食品に含まれているという意味合いの既存ビタミンA。主に動物性食品に多く含まれます。
レバー、ウナギ、卵、チーズに多く含まれます。
ビタミンAは過剰摂取に注意
前回の記事でも書いたように脂溶性ビタミンは過剰分が体内に蓄積されやすくなっているため過剰摂取には注意しなければなりません。
レバーはビタミンAが豊富なことで有名な食品です。
50g食べるだけでビタミンAが必要な量をとれてしまうどころか上限も超えてしまいます。毎日のような頻繁摂取は過剰の可能性もあるので、注意が必要です。
動物性の食品は、植物性食品に比べ吸収率という点で優れています。しかし、摂りすぎはビタミンA過剰摂取の心配に繋がります。
その点、植物性食品のカロテノイドは必要に応じてビタミンAに変えられるため現状では過剰の心配はほぼありません。
とはいえ普段から食事量が多いアスリートにとっては、レバーのようにできるだけ量少なく必要な栄養素を自然にとれるってすごくうれしいですよね。決してレバーが悪いというわけではありません。量や頻度に注意が必要ということです。過剰になることもあるということを知っておいてほしいなと思います。
ちなみに同じ動物性食品でも卵やチーズは、相当量を摂らない限り過剰の心配はありません。
- 不足は体に様々な影響を与える
皮膚・呼吸器の粘膜が弱くなる・夜盲症・子供では角膜乾燥症や成長障害
- 過剰になると体内に異常
頭痛・嘔吐・脂肪肝・骨異常など
過剰摂取による健康障害が報告されているのはビタミンAのサプリメントや大量のレバー摂取などによるものだと言われています。
- アスリートは最低限不足しないこと
特にアスリートとビタミンAの関係性が明確に文献に書かれたものは見当たりませんでした。
しかし、明暗順応や識別能力が必要とされるような競技であればビタミンAの欠乏が影響する可能性は考えられます。
また、上に挙げたようにアスリートでは、様々なストレスにより体が酸化(疲労)しやすくなっています。
そのため最低限不足をしないように摂取することが必要だと考えます。
上に挙げた食品を中心にバランスよく様々な食材を摂取しましょう。緑黄色野菜をなるべく毎食取り入れられるように意識し、卵や乳製品などバランスよく摂取すれば大きく不足することはないでしょう。
骨づくりのビタミンK
生理作用
- カルシウムの骨沈着させる物質を活性化させる(骨づくり)
- 止血を行う(ケガや内出血時等)
骨づくりはカルシウムだけではありません。主となる材料ではありませんがこれがなければ上手くつくることはできないでしょう。
ビタミンKの2つの形
ビタミンKには2種類あります。(数種類ありますが栄養学的に重要なのか以下の2つとされています。)
- ビタミンK1
- ビタミンK2
これらを食品別にすると
つるむらさき・かぶの葉・春菊・大根葉 よく食べる野菜だと、ほうれん草・小松菜・ブロッコリー・サニーレタス等 様々な野菜や海藻類に含まれています。
ビタミンK2に関しては、腸内細菌によっても作られます。
吸収率に関して、この2つに違いはありません。
- 不足すると血液に支障
血液凝固の遅延等
ビタミンKは止血を助けるビタミンであることから不足により血液がとまりにくくなります。ですが、あまり不足の心配をする必要はありません。
なぜなら、よく食べる野菜にビタミンKは多く含まれていたり、日本には納豆を食べる食文化もあります。
これらにより必要な量を満たすことができます。一般に必要な量というのは
例で挙げるとほうれん草であれば小鉢1つ分の副菜を摂取すれば1日に必要なビタミンK量のほとんどを摂れます。
納豆であれば、1パックでビタミンK量に関しては余裕をもって必要な量を摂ることができます。
ビタミンKに関しては…です😊これだけでは完結しませんが、ビタミンKは偏った食事でなければ不足の可能性は低いということをわかって頂ければと思います!
- 過剰摂取による体への影響はわからない
脂溶性ビタミンですが、過剰症は報告されていません。
ただし、ビタミンKの止血作用により抗凝固剤や血栓症の人は制限をしなければなりません。
- アスリートは骨づくりのため最低限不足しないこと
アスリートへの付加量を示すものはありませんが、骨づくりに必要なため一般に必要な量はクリアしておくべきだと考えます。
ここでいう一般に必要な量というのは、骨折予防のために算定された値ではありません。ですが不足は骨折のリスクを増大させることはわかっています。
普通の食事をしていれば、簡単に必要な量は超えることができますが、骨折を予防するためには現在一般人に定められている量を最低限とし、それを超える摂取の必要があると私は考えます。
以上が脂溶性ビタミンのビタミンAとビタミンKのお話でした。
緑黄色野菜たっぷりレシピ
最後に本日お話した緑黄色野菜をたっぷり使用した料理「ごろごろ食材のグラタン」や「ミルクスープ」をご提案します😊自分の生活に今日紹介したビタミンを取り入れていきましょう!
- ごろごろ食材のグラタン
材料
かぼちゃ50g・ブロッコリー50g・人参20g・市販のホワイトソース(手作りでも構いません)・鶏モモ肉30~40g orウィンナー2~3本、ピザ用チーズ、パン粉
具材はすべて少し小さめに切って頂くと良いと思います! ①野菜はレンジで3~4分加熱します。 ②鶏モモやウィンナーは油でいためておき、ある程度炒まってきたら野菜を入れて少し一緒に炒めてください😊(脂溶性ビタミンの吸収率upです!) ③ホワイトソースを入れ、お好みで牛乳で伸ばしてください。(粉とマカロニが一緒に入っているものでも大丈夫です!その場合はその箱の作り方通りに進めてください。)グラタン皿に取り分けます。 ④最後にピザ用チーズをお好みの量でかけ、パン粉をふりかけトースターで10分 ⑤完成!! 時間は目安です。様子をみながらやってください🙇 焦げが多くなってくる場合はアルミホイルをかぶせて下さい!


かぼちゃがほくほく甘くて、美味しいです😋
- ミルクスープ
材料
ブロッコリー60g、人参20g、ほうれん草30g、コーン缶・ベーコン・コンソメ・塩コショウ(適量)・乾燥パセリ(あれば)
①ブロッコリーは1口大くらいに切って割いておき、人参は好きな切り方で大丈夫です!(私は細切りにしました。)ほうれん草は1度さっと茹で、切っておきます。ベーコンもお好きにきってもらって大丈夫です! ②人参を鍋に入れ、水を加え煮込みます。ある程度柔らかくなれば、ブロッコリーやほうれん草・ベーコン・コーン・コンソメを入れて少し煮ます。 ③野菜が全て柔らかくなれば、最後に牛乳を適当にいれます。これは牛乳の濃さの好みもあるので自分の舌で確認しながら😊 *私は、1人当たり100mlは使用しました。最後にお好みで塩コショウで味付け。乾燥パセリをふって完成!! *コーンではなく、かぼちゃをいれても甘みがあって美味しいですね!事前にある程度レンジで柔らかくしてから煮るほうが良いです。
少し量が多いので、スープというよりシチューに近くはなりましたがコーンの甘味や牛乳のコクが美味しいです♪
今回は特に緑黄色野菜に焦点をあてビタミンの話をしてきました。
これらのビタミン摂取のためにも1食に1品-2品(種類は1日に5種類が理想)はとれるように意識しましょう!!
1人暮らしや寮生活の学生アスリートなどでは、意識しないと忘れがちな野菜だと思います。色の濃い野菜は少し癖があり、レタス・キャベツなどとは違い生で食べられるものは少なく手間ではあります。
ですが、普段作っている料理に足したり、レシピサイトでこれらの食材を入れて調べてみたり、どうしても料理をするにはしんどい時や寮ではスーパーやコンビニで自ら選んでくるなど、知っておけばできることはあると思います。✨
大切さを知って、ぜひ実践してみて下さいね!
まとめ
- ビタミンAは体を支える
➡粘膜や皮膚を正常に保ったり、成長作用(成長を助ける)、抗酸化作用をもつためです。
- ビタミンKは骨づくりを助ける
➡カルシウムが骨に沈着するように間接的に働きます。
- アスリートはどちらのビタミンも最低限不足しないように摂取する
➡アスリートに必要量は示されていないものの一般人以上の活動量があったり、十分な体づくりが必要なアスリートでは一般人の必要量も満たせていないとなると影響があると考えます。
- 緑黄色野菜を1食に1品-2品(種類は1日に3種類以上が理想)はとれるように意識をする
➡これを中心に動物性食品もとりバランスよく食事していればビタミンA・Kの不足の可能性は低いと考えます。
他のビタミンD、ビタミンEについては次回にお話していきたいと思います!
ここまで読んで頂きありがとうございました!