アスリートのための栄養学

危険な熱中症!運動する自分や仲間を守るために!知っておくべき対策法

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危険な暑さが熱中症を引き起こす

これから夏本番を迎えるにあたり心配なことは熱中症です。暑い日に運動をして筋肉けいれんや痛み、頭痛・吐き気・めまいなどの経験をしたことはありませんか?

これらは熱中症の症状の1つです。

危険な熱中症から身を守るのに必要なことは、適切な対処方法を知ることと、未然に防ぐための対策を行うことです。

こちらの記事は管理栄養士(国家資格)である広瀬陽香 (ひろせはるか)が書いています。大学で栄養学について学び、卒業後は女子アスリート寮で寮母として献立作成、食事提供、アスリートのメンタル面でのサポートをしていました。現在はアスリートが多数訪れる東大阪市のやまぐち整骨院にてアスリートと携わっております。熱中症による悲しい報道は残念なことに毎年目にします。自分の大好きな運動で命を落とさないために知っておくべきことをまとめました!

管理栄養士 広瀬陽香

適切な対処で死へのステップを避ける

まず、熱中症と一口にいっても症状にはステップがあります。

そしてこれらの各ステップで適切な対処を行うことにより次のステップへの進行を防ぐことができます。では、それぞれのステップの原因・症状・対処方法についてみていきましょう!

  • ステップ1:熱けいれん

原因

高温環境下の運動や作業での多量の発汗に伴い、水や電解質がでていくことや水分のみの摂取による電解質の欠乏によって起きます。

症状

筋肉に痛みを感じます。意識は保たれており比較的良好と言えます。

対処方法

涼しい場所で安静にして電解質を含んだスポーツドリンクや食塩水などで、十分に水分・電解質を補給することです。

熱中症のステップを踏み始めたこの時点で、それ以上進行しないように止める努力をすべきです。水分補給と共に電解質の十分摂取を!

  • ステップ2:熱疲労

原因

脱水で、発汗による熱の放散が十分でないため熱がこもり体温上昇が起きます。

症状

頭痛・吐き気・めまい・倦怠感が現れます。

対処方法

基本的に、熱けいれんと同じです。ただし、「激しい嘔吐により水分が十分に摂取できない」や「意識障害が認められる」その様な場合は、迷わず病院へ行くべきです。

経験談

熱疲労は自分自身、学生時の運動会の練習中に体験したことがあり、めまいで倒れる寸前でした。その日は炎天下の中、汗をかいていながらも「これくらい大丈夫かな」と思い、ろくに水分摂取をしませんでした。

ところが、授業の終盤、先生からの指導が始まり少ししてめまいが起きました。体がとても熱かったことを覚えています。この時は発汗は多くありませんでした。

立っていることがやっとで「これはまずい。」と思いましたがなんとか踏ん張り授業が終わった後ふらふらになりながら(めまいがすごくてまっすぐ歩くのがやっとです)風通しの良い涼しい木陰で横になり、スポーツドリンクを飲むと徐々に回復していき、めまいもなくなりました。

水分摂取を怠ったことから起きたことでしょう。

この熱疲労は最後のステップへの1つ手前になります。

「これ以上、無理な運動はしないで!」「しっかり休んで!」という体からのサインを無視しないでください。熱疲労は1種の防御反応です。ここで迷わず運動をやめることで最悪の状態を避けられます。

ステップ3:熱射病

これは特に1つ目とは区別して考えるべきことであり、死に最も近い熱中症です。

原因

熱疲労を放置したことにより起きます。

症状

発汗が停止し皮膚は乾燥しています。体温調節能力を失い、体温が40.5度以上で意識障害が認められます。非常に危険で死の危険性が高い状態です。体温が41度を超えてくると、臓器不全や中枢神経障害が起き生体が機能しなくなってきます。

対処方法

とにかく冷却です。重要ポイントはいかに早く体温を下げられるかだということです。目安としては30分以内に40度以下にすることです。そして救急隊を待ちます。「寒い」と言われるくらいまで冷却してください。

水道が近くにあるならばホースをつなぎ全身に水をかけ、室内の利用が可能であればエアコンは出力最大にし、扇風機や氷のう、アイスパックなど冷却できるものを総動員します。

体はよくできているので、体にとって何か不都合なことがあれば必ずサインをだしてくれます。

体の中の水分が減ってきたなら喉の渇きを感じ、かなり不足すると頭痛・めまいなどの脱水症状がでてきます。更に電解質が不足すると筋肉の痛みやけいれんが起きます。

これらの体からのサインを見落さず、各ステップでの適切な処置を施すことで、次のステップに進行させず自分の命を守るとができます。

暑さになれるまでの期間は2週間

次に、熱中症を未然に防ぐための対策についてです。汗の量が増えて、体温が下げられる状態になるまでに約2週間かかります。

人は体が暑さに慣れるまで、汗をうまくかけず熱を外に逃がすことができません。それにより体温が上昇し、熱中症を発症しやすくなります。

運動量はステップアップ

基本的に運動量を落とし、徐々に高めるイメージです。

☑運動時間は、30分~100分

☑激しい運動を控える

☑気温が高くなり始める5~6月から開始

暑さに慣れるまでは3日以上空けずに行うようにします。海外の暑熱環境地域では最低でも5日以上前に現地に入り上記の練習内容を行います。なぜなら、暑さに慣れ始めるのに5日かかるからです。

但し、暑さに慣れるまでの期間は個人の生活環境や状態(冷房の使い方・睡眠時間等)により異なります。

まとめ

  • 各ステップで適切な対処を行う

死に至る危険性を遠ざけることができます。

  • 暑さになれるまでの2週間は、練習時間・運動強度を落とす

➡正常な発汗により熱を体に貯めこまず熱中症を防ぐことができます。

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