アスリートのための栄養学

風邪は嫌!免疫力を上げたいあなたにお伝えしたい食事法

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免疫力を上げて強い体を手に入れたいアスリートへ

免疫力を高めるという言葉は今、よく耳にすると思います。

アスリートであればインフルエンザにかかり練習に出られず、せっかくついた筋肉がおちてしまったり、大事な試合前に体調を崩し自分のベストコンディションで挑めないということにもなりかねません。常に自分の100%の力を引き出したい!免疫力を上げて休みしらずの強い体を作りたい!

この記事では、そんな体を作るための食事についてお伝えしたいと思います。

こちらの記事は管理栄養士(国家資格)である広瀬陽香 (ひろせはるか)がかいています。大学で栄養学について学び、卒業後は女子アスリート寮で寮母として献立作成、食事提供、アスリートのメンタル面でのサポートをしていました。現在はアスリートが多数訪れる東大阪市のやまぐち整骨院にてアスリートと携わっております。生の声を現場で聞けるのでそれをもとに記事を作成しています。多くのアスリートに食事の大切さを知って実践して頂けるように発信していきます。

管理栄養士 広瀬陽香

免疫力が落ちる原因

まず原因としては、加齢や過剰なストレス、生活習慣(睡眠不足、食生活の乱れ)などです。また、アスリートのように激しい運動を続ける(適度な運動は免疫力を上げますが…)ことによるものもあります。ここでは、食事に焦点をあてながら様々な原因を見ていこうと思います。

加齢、過度のストレス、睡眠不足

加齢により造血幹細胞から免疫細胞に分化する能力が落ち、免疫細胞が減少することによって体内の異物への対応がうまくできなくなってしまいます。更に唾液に含まれる免疫作用を持つ物質(IgA)が減少することで免疫力が低下します。過度のストレスやアスリートの激しい運動、睡眠不足による免疫力低下の原因もIgAの減少からくるものだと言われています。

また、睡眠時間が7時間未満の人は8時間以上に比べ風邪のかかりやすさが3倍以上になるという報告もあります。睡眠不足には気をつけたいですね。

食生活の乱れ

睡眠不足もそうですが、生活習慣については加齢と違い自分の意識次第で変えることができます。自分の意識で強い体を作ることができるのならぜひ行いたいことですよね。

では、食生活の乱れによる免疫力低下のメカニズムについてみていきましょう。

食生活の乱れでなぜ免疫力が低下するのか。

  • 食物繊維の不足、脂質の摂りすぎによる腸内環境の悪化
  • ビタミン、ミネラル不足によるバリア機能の低下
  • タンパク質不足などによる免疫細胞、抗体の材料不足
などが大きく挙げられます。
免疫力アップの腸内環境説明のため

まず、腸内環境の悪化による免疫力低下の理由についてです。腸は消化や吸収の働き以外にも免疫のしくみも持っており、体内の免疫細胞の約7割が腸に存在すると言われています。免疫というのは、体内に侵入したウイルス、病原菌を排除する反応の事です。つまり腸内環境を良好に保つことで免疫力の低下を防ぐことができるのです。

そして腸にはいわゆる善玉菌と悪玉菌が住んでおり、食物繊維不足や脂質の過剰摂取などの偏った食生活によりこの2つのバランスが崩れ悪玉菌が優位になり腸内環境が悪化することで、免疫力が低下すると考えられます。

免疫力を上げる説明に
 免疫力を上げる説明のため

次にバリア機能低下によって免疫力が弱まる理由についてです。

先ほど、腸内での免疫の話をしましたが、ウイルスや病原菌から体を守るすべは何も体内の免疫細胞による働きだけではありません。第一次防御として、皮膚や鼻、喉など外界と接する粘膜により守られてもいるのです。また皮膚の再生がうまくいかず抵抗力がおちているところにウイルスなどが侵入してくる場合もあります。

そして、侵入を防ぐのに大切な粘膜や細胞を正常に保つにはビタミンAビタミンB2 が必要になります。また、ビタミンCは免疫細胞の機能維持に寄与します。なので、そのビタミンが不足することで粘膜が弱くなりウイルスや病原菌が侵入しやすくなったり、免疫細胞が上手く働かなかったりと免疫力が低下すると考えられます。

またこれは、ミネラル不足でも起きます。ミネラルは、酵素の構成成分となるものが多く、中には免疫反応に関するものもあります。体内では合成できません。食事からとる必要性があるのです。

そして、今までお伝えしてきた免疫細胞や免疫のもとになる抗体など多くの体を守るものの主材料となっているのがタンパク質です。日頃から肉、魚、豆製品などをとっていれば不足ということはまずありませんが、極度の食事制限などによる減量により不足する可能性はあります。また、コレステロールを敵としてみなしていませんか?過剰摂取はいけませんが細胞の材料となっているため、適度にとることが必要です。

 

どんな栄養素が特に関わっているか

  • 食物繊維、オリゴ糖

この2つは、腸内環境をよくするための材料となります。

【食物繊維を多く含む食材】

◎野菜(ごぼう、れんこん、人参、大根、切り干し大根、菜の花、タケノコ、かぼちゃ、モロヘイヤ、枝豆、キャベツ、白菜、ほうれん草を始めとする様々な野菜)

◎果物(りんご、干し柿、イチゴ、梨等)

◎海藻類(ひじき、焼きのり、わかめ、昆布)

◎キノコ類(干しシイタケ、シイタケ、シメジ等)

※キノコ類に含まれるβ-グルカンは食物繊維の一種で免疫機能に働き白血球を活性化します。シイタケやマイタケがキノコ類の中でもより多く含みます。

◎豆類(インゲン豆、えんどう豆、大豆、きなこ、小豆、納豆、豆腐)等

こんにゃくや芋類も食物繊維を多く含みます。

栄養素ではありませんが、乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌(総称プロバイオティクス)は食物繊維やオリゴ糖(総称プレバイオティクス)をエサに増え腸内環境を良くします。

ヨーグルト、みそ、漬物、納豆などの発酵食品には多くの善玉菌が含まれています
  • ビタミンA、B2、C

【ビタミンAを多く含む食材】…粘膜を正常に保つ

◎肉類(レバー等)

◎魚類(ウナギ、銀ダラ等)

◎野菜類(かぼちゃ、人参、モロヘイヤなどを始めとする緑黄色野菜)等

卵、乳製品(牛乳、チーズ等)にも多く含みます。

※植物性食品(野菜等)は動物性食品(特にレバーは毎日多く食べるとなると過剰症の可能性)に比べ多く食べても過剰症が起きにくい。

【ビタミンB2を多く含む食材】…皮膚などの細胞の再生

◎肉類(レバー)

◎魚類(ウナギ、カレイ、サバ、サンマ等)

◎牛乳、納豆 等

緑黄色野菜やキノコにも比較的多く含まれます

ビタミンCを多く含む食材】…免疫細胞の機能維持、粘膜や皮膚の強化

◎野菜類(菜の花、赤ピーマン、芽キャベツ、ブロッコリー、ジャガイモ等)

◎果物(柿、ネーブル、はっさく、イチゴ、キウイ等)

主に、野菜、果物に多く含まれます。水に溶けやすく熱に弱いビタミンなので汁もので食べたり生で食べられるものは新鮮さそのままに生で食べることをおススメします。じゃがいもはビタミンCが比較的減少しにくいので取り入れるとよいでしょう。

  • ミネラル(銅、亜鉛等)

【銅を多く含む食材】…皮膚の健康維持、欠乏すると免疫細胞の減少

◎レバー、カキ、そら豆、干しエビ 等

【亜鉛を多く含む食材】…免疫反応の酵素の成分

◎魚介類(カキ、ウナギ、カニ)

◎肉類(牛モモ、レバー、鶏モモ)

以外にも、玄米や野菜、海藻にも含まれる。

また今、外出自粛により外にでないことも増えているのではないでしょうか?日光が不足してしまいビタミンDの合成も低下している状況であるので、ビタミンDを食事から摂取する必要性を感じます。もちろん、3つの密は避け太陽のもとに出る時間も作ってみて下さい。ビタミンDは成長に特に関わる栄養素なので成長期のアスリートは特に意識して、日光を浴びたり下記の食材もしっかり摂ってくださいね。

青魚や乳製品、キノコ類に多く含まれます

最後にそれらを踏まえ、具体的な食事例に落とし込んでいきたいと思います。

実際の食事例

  • 根菜の煮物(大根、人参、ゴボウ、れんこん、鶏肉、シイタケ)
  • ひじき煮(ひじき、人参、大豆、こんにゃく)
  • 切り干し大根の煮物(切り干し大根、人参、シイタケ)
  • ヨーグルトにきな粉、オリゴ糖を入れる

他にも、みそ汁にこの記事で上げてきた野菜やワカメをいれることで汁に溶けだすビタミンもとることができます。色の濃い野菜や根菜、海藻、豆類、キノコ類を少し意識してとりいれるようにしてみましょう!3食の中にまったくなかった方はまず1食から、頑張っていきましょう。

栄養素というのはチームで働くものです。ここでは、特定の栄養素だけをいくつかをあげましたがこれらだけを摂れば良いということはありません。各栄養素の働きは書いた通りですが

それらがその力を発揮するには、様々な食材を使いバランスの取れた食事をとることが大切です。そのうえで、これらの食材を意識してみて下さい^^

ぜひ皆さんも免疫力を高めて風邪知らずの強い体に!!

ここまで読んでいただきありがとうございました。何かご質問やこんなことを知りたい!などのご要望ございましたら、お答えさせて頂きますので宜しくお願い致します。

 

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  1. […] 今は、免疫力をあげる食事やアスリートにとっての食事についての記事があがっております。 […]

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